iPad がもたらす変化の危険性

2010年5月28日

Apple iPad

いよいよ日本での iPad の発売が始まりました。
今後数年でインターネットを使ったマーケティングは、
がらっと様変わりするかもしれませんね。

【通販業界】
例えば、「通販生活」(カタログハウス)という通販雑誌があります。
iPad 上で通販雑誌を読みながら、気に入った商品を “ポチッ” とすれば
商品を買えるようになるでしょう。
そうなると通販ショップは今のようなホームページ形式でなく、
雑誌レイアウトのような形式になります。

どちらが主流になるかは、まだ何とも言えませんが。


【出版業界】
書籍に価値があるとすれば、
過去の名作や名著と呼ばれる作品にのみとなるかもしれません。

本の出版には、ある意味特権的な暗黙の価値があります。

本に書かれた内容自体には、実はそれほど潜在的な価値はないと言えます。
作品や著作に対する敬意は、
出版社に認められ、本という形になり、書店に並ぶことによって
はじめて発生するものです。

今現在、有名著名な方はいいでしょう。既に認められている訳ですから。
別に出版社を介さなくも、有名著名な作家は自作を発表し、利益を上げることもできます。(そうなると出版社自体必要なくなります。)

今後、にわか作家が沢山登場してくるでしょう。
表紙をデザインし、本文をPDF化すれば、電子書籍の体裁は整います。
(ありとあらゆる出版物を保管する国立国会図書館は、そうした文書をどう扱うかも気になります。)

他方、そうなると今のウェブ上にあるブログや記事と何が違うのかという境界線すら判りにくくなります。
どんなものでも、個人で書いたものが電子書籍となり得ますから。
(ブログはエッセイ・随筆と同じです。)

このブログのタイトルで “危険性” という言葉を使っているのはそのためです。“本” という意味の再定義も当然必要となるでしょう。

最初のうちは有料だった電子書籍の雑誌は、
いずれ全て無料になると考えられます。
いわゆる雑誌のチラシ化です。
鍵は無料の電子雑誌でどうやってお金を生み出すかです。

雑誌の情報の地位を奪ったのはインターネット上の情報です。
iPadに雑誌の復権を期待する出版業界の希望は残念ながら、
実現しないでしょう。


【印刷業界】
最悪でしょうね。
ホームページ(=パソコンの画面)が最も苦手とするのは、一覧性です。
一画面に沢山の情報を詰め込もうとすると、
文字が小さくなり、視認性が低下してしまいます。
そのため、新聞や大きなチラシ広告のようなものの表示には不向きです。

パソコンと違ってiPadのような情報端末では、
指で自在に画面内のコンテンツを動かしたり、表示サイズを変えられるといった操作性に優れているため、
新聞や大きなチラシ広告の閲覧にもそれなりに対応できます。

いずれ液晶デバイスは折りたたみ(最大9面ぐらい?)ができ、
広げると今のiPadより遙かに大きな表示面積を確保できるようになることでしょう。
そうなれば、印刷した新聞や大きなチラシ広告は必要なくなります。

また、現在市町村などが一軒一軒届けている広報誌も
いずれ各戸にiPadを配布(もしくは貸し出し)して、
ネット配信するようになり、印刷しなくてよくなるでしょう。
(もう少し時間はかかるでしょうが。)


駆け足でiPadのもたらすであろう今後の変化を考えてみました。

とは言え、一番影響を受けそうなのは、
自分たちのようなコンテンツを作る側かもしれませんね。

今、一生懸命Webの勉強をしている人には申し訳ありませんが、
その知識は、まったく役に立たなくなるかもしれませんよ。
残念ながら . . .


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経済産業省による「消費者の購買に関するニーズの動向調査」の結果発表

2010年5月26日

4月21日に経済産業省が公表した
「消費者の購買に関するニーズの動向調査」の結果発表について〜リーマンショック以降の日本の消費者の実像〜
を取り上げてみたいと思います。

調査は2009年12月18日から20日の期間、
約100万人の消費者にメールでアンケート調査を送信。
年齢層やエリアのバランスを考慮し、3000人のサンプルを収集したもの。

公表された資料は次の3つです。

  ▶ 「消費者の購買に関するニーズの動向調査」の結果発表に
    ついて〜リーマンショック以降の日本の消費者の実像〜
    (PDF、全3ページ)

  ▶ 調査結果:概要(PDF、全29ページ)

  ▶ 調査結果:詳細調査(PDF、全211ページ)


全211ページもあるかなり詳しいまとめとなっています。
部分部分、とても興味深い記述があります。
特に消費者側の考え方と、企業側の考え方のズレも目立ちます。

調査結果の要旨が載っていましたので、
以下に引用し、まとめておきます。(太字は長谷川による)


1.消費にあたって重視する要素

日本の消費者は製品・サービスにこだわりはなく、低価格がこだわりのポイントになっているとの一般論がよく聞かれるが、この点は、否定された。
「信頼」、「安心」が消費者の最優先事項であり「低価格」を上回る
これらの非価格要素への「こだわり」は、女性、高齢者ほど高くなっている。
また、価格を下げると、消費者は、さらに価格要素を重視するようになり、際限なき価格競争に陥ることが数量的に確認された(たとえば、食品の場合、2割安くすると、価格の重要度が48.9%から59.6%に上昇する)。


2.消費したいもの

お金の使い途について、消費者は、消費をしたくないわけではない(貯蓄は5位に過ぎない)。しかし、在来の典型的商品支出ではなく、「趣味」、「食事」、「旅行」、「本・雑誌」といった生活を楽しむものにお金を使いたいという傾向が顕著


3.サービスに非価格競争の余地

ものづくりとは言っても、消費者は、「連絡すると、修理・交換・設置に来てくれる」、「お客様相談窓口の常設」といったサービスを重視
特に、女性、中・高齢層、子育て世代にサービス提供へのニーズが高い。
ここに非価格競争の余地。かつ、分厚い取扱説明書と設置・操作が複雑な商品への不満感を解消する製品開発に機会あり。


4.消費者にとっての信頼できる情報源

消費の選択の際に信頼できる情報源とするのは、「口コミサイト」が圧倒的
実際に消費した人の感想を事前にみてバリュー感を判断する消費形態が定着。この厳しいスクリーニングに残れないものは売れなくなっている。
消費者も、使ってみて良いと思った情報は、メールや口コミサイトへの書き込みを通じて発信する傾向。したがって、消費者の評価は、消費動向に強く影響。
一方、使ってみて悪かった感想は、企業へ発信する傾向
これらの開発部門へのフィードバックが企業の成長を決定する。


5.消費者への流通チャネルが構造変化—ネット通販が大きなチャネルに

ネットショッピングは9割、テレビショッピングは3割、カタログ通販は7割が利用経験あり。
特に、ネットショッピングは、消費者の平均で、
3ヶ月で利用回数が5.7回。
利用金額は、5.13万円にも達する。
特に、男女ともに40代の多忙な層、子育て層、要介護者のいる層でネットショッピングの利用率が高くなっている。
また、消費者の自由時間が、平日、休日ともに、午後9時〜深夜1時にかけての時間帯に集中しており、昼間のみにショッピングができるビジネスモデルでは、限界が生じている。


6.企業側の対応

企業にとっての消費者情報の入手は、消費者対応部門を窓口にした入手は、大半の企業が行っているが、ネット上の口コミサイトへの書き込みの確認といった積極的な情報収集は、半分以下の企業にとどまっている。
また、故障・問題発生時の対応については、消費者は、「アフターサービスの内容」や「解約方法」といったサブスタンスのある情報を求める一方で、企業の経営層は「誠実な消費者対応」、「企業の信頼性」などのイメージを重視
消費者と企業経営層の認識の違いが依然として、確認される。


これら要旨にも教えられることは多いです。
詳しくは公開中のデータ(PDF)をご覧ください。


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2010 FIFAワールドカップの会場では、VISAカード以外は使えない!

2010年5月11日

VISAのCM

サッカー南アフリカW杯日本代表23名も決まり、
これからますます盛り上がりをみせる南アフリカワールドカップです。

そんな中、FIFAワールドカップに関連して、
クレジットカードの国際ブランドVISA(米)が日本国内で
テレビCMを流しています。

「2010 FIFAワールドカップの会場で使える唯一のカード」

記憶にある限り、ここ何回ものFIFAワールドカップで、
唯一の公式カードはVISAで、
毎回同じようなキャッチコピーで利用拡大を計っているはずです。
まるで馬鹿の一つ覚えみたいに、です。

これってどうなんでしょうね?

VISAにしろ、FIFAにしろ、
もっと使える公式カードを増やしてくれたほうが、
利用者にとってはずっとありがたい話ではないでしょうか。

VISAが多額のスポンサー費を払って、
独占カードの認定を受け、
利用者拡大を目論もうとするのは分かります。
一企業ですから。

ですが、それによって
クレジットカード利用者の多くにメリットが
発生するわけではありません。

むしろデメリットの方が多いと言えます。

「2010 FIFAワールドカップの会場で使える唯一のカード」

裏を返せば、

「2010 FIFAワールドカップの会場では、VISAカード以外は決して使えません!」

って宣伝していることになります。

とてもお客様のことを考えているとは思えません!

お客様のためを本気で考えるなら、
使えるクレジットカードの種類は多い方が望ましいはず。

不便さを宣伝する大企業の気持ちが判りません。


公式スポンサーになり、
自社商品にFIFAワールドカップのマークを刻印し、
商品の売り上げを伸ばそうとする戦略とは
VISAの戦略は根本的に異なります。


唯一の公式スポンサーだぞ!とかいうことを
あからさまに宣伝するやり方(お客様にメリットがない場合)は、
時代遅れです。

なぜなら、オリンピックにしろただのスポーツ大会にしろ、
人気や話題性が上がれば上がるほど、
余りにも商業主義と結びついて、
私腹を肥やそうとする運営側とそれをサポートする側の思惑が
広く知れ渡ってしまっているからです。


FIFAやVISAの販促戦略は感心しません。

逆に、たくさんの種類のクレジットカードが使えるようにし、
公式カードだと、ワールドカップの会場で購入の際、
5%安く購入できますといったアドバンテージを付ける、
そんな戦略のほうがよっぽと好ましいでしょう!


まるで当たり前のように宣伝する
「2010 FIFAワールドカップの会場で使える唯一のカード」

もうそろそろ、止めにしたらどうですか?


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