検索エンジン対策の本当の意義とは〜検索エンジン対策はビジネスや商売だけのためにあると思っていませんか?

2009年12月24日

検索エンジン対策(=SEO)と言うと、大抵はインターネットでビジネスや商売をする際、他社より抜きん出で成果を上げようとするための方策のひとつと思われがちです。もちろんビジネスや商売をネットで展開する場合、検索結果の上位に入ることは、成功への鍵となることは否定できない事実です。

ですが、検索エンジン対策をあまりにビジネスや商売の販促ワザだと思い込んでしまっていると、手痛い過ちを犯すこともあります。

今回はそんな過ちを犯してしまっている方たちへの警鐘の意味も込めて、検索エンジン対策の本当の意義について考えてみましょう。


利益を得るためのビジネスや商売をインターネットでしていない方にとって、検索エンジン対策は無関係なことでしょうか? 例えば、国や市町村などの公共のホームページとか、あるいはNPO法人などの非営利団体のホームページ、会社ではなく組織と呼ばる職員が運営するホームページです。これらのホームページ作成に関わっている職員にとって、検索エンジン対策はどうでもいいものなのでしょうか?

確かに市区町村のホームページに検索エンジン対策を施したところで、利益が生み出されるものではありません。(単純にアクセス数が多いと、嬉しいし、誇れるのというのはあるでしょうが。)

しかし本当にそうでしょうか?

その答えは、検索エンジン対策の本当の意義について考えれば、自ずとはっきりします。

検索エンジン対策とは、ユーザー(=検索エンジンの使い手)が手に入れたいと考える情報に最短距離(=最短時間)で辿り着けるようにすることです。

検索結果の表示順位(=表示ランク)を云々する以前に、まずそのことを肝に銘じなければなりません。なぜなら「検索エンジン対策=ユーザビリティの第一歩」なんですから。検索結果の順位は二の次です。


そのことを改めて気づかされる出来事がありました。

法人税に関わる弊社の書類を、会社のある鶴岡市役所に申請しなければならないことがありました。少なくとも自分にとっては初めて提出する書類で、それまでに聞いたこともなければ、その書類がメジャーなのかマイナーなのかさえ知りませんでした。

取り敢えず「その書類に関わりのある名称」+「鶴岡市」で検索してみます。いくつか試してみても必要なページには辿り着けません。更にはそうした書類の申請書のダウンロードページも検索しても見つかりません。いくつかの検索結果から分かったことは、どうやらその申請書類は各市区町村で書式が違っているということ。一般的な書式があれば、それを利用することもできるですが、どうやらそれも無理。結局諦めて鶴岡市役所で書類をもらうことに決め、足を運ぶ。(余談ですが、それの時のことは別の話題でも取り上げています。「オスカー像は撮影禁止。どうせなら、宣伝してもらったほうがいいのにね。」よかったらお読みください。)

鶴岡市役所の法人税課に着き、説明をし、書類をもらい、その書類に記入していると、担当の方は「席を外すので、書き終わったら呼んでください」と言い残し、姿を消す。

自分が記入し終えて、申請書類を提出すると、年配の担当者が言った。
「申請書類、ホームページからでもダウンロードできるんですけどねえ〜」
なかなか文章では伝えずらいんですが、そう言った担当者の言い方にはどこかしら人を小馬鹿にしたような雰囲気があった。そう、まるで「ホームページで予めダウンロードして会社で記入しておけば、提出だけで済むんで、こっちも本当はその方が楽なんだよね〜」とでも言いいたげな口調だったのだ。

さすがにちょっとだけその口調にカチンときたし、自分は前もってちゃんと検索して調べている。しかも検索のプロだ。検索に精通している自分が検索しても表示されないとしたら、それはホームページを作る側の責任のはずという自負もある。

「会社で検索しましたけど、(検索結果に)出てきませんでしたよ。」
「(鶴岡市HPの)トップページから入れば、行けるんですがね〜。」
「いや、いちいちあるかないかも分からない書類を探すのにトップページに行って、そこから階層たどって探すなんていう作業は時間の無駄ですから。きちんとした検索エンジン対策がなってないんですよ。もちろん(鶴岡市のHPを)制作した会社もよくないんでしょうが。」
そう言って、自分は自分が検索エンジン対策の仕事をしていることを告げた。(その後、年配の担当者は自分に対して、彼の検索に関する知識を披露してきたのですが、それがまた興味深い今の検索エンジン対策の問題をはらんでいました。ですが、今回のテーマから外れるので後日別の機会に取り上げたいと思います。)

その後、会社に戻り、改めて幾つか検索を試みる。今度はズバリのキーワードでもです。

  出てこない!

そこでハードルを下げて「鶴岡市 申請書」という検索キーワードでヤフーとグーグルで検索しますが、出てきません。「鶴岡市 申請書 ダウンロード」ではグーグルでは出てきません。ヤフーだとそれらしきページは出てきますが、関係ないページも合わせて出てくるので分かりずらい。

いずれにせよ、ドンぴしゃなページはひとつも検索結果に出てきません。

鶴岡市役所のホームページのトップページから辿って行って、実際の申請書のページに目を通してみると、どうしてヤフーやグーグルといった検索エンジンの検索結果に現われないのかは一目瞭然でした。

検索エンジンによる検索を意識したページ作りに全然なっていないし、ページの構成も全くダメなんですね。検索エンジンについての最低限の知識すらなく制作されているのが歴然としていました。よく公的なホームページはアクセシビリティを問題にし、それなりに予算を組みますが(それどころか必要以上に予算を出しますが)、検索エンジン対策にはさっぱりなんでしょうね。

でも実はアクセシビリティ以前に、検索エンジンを意識して作っていないホームページは上述の自分のように当該ページにアクセスすらできない訳ですから、アクセシビリティもクソもない訳です。

検索エンジン対策と言った場合、基本、ドンぴしゃの検索キーワードで検索しても結果に現れないようなら落第です。そして意外なほどまだそういうページが多いのが実情です。

検索エンジン対策はビジネスや商売の検索結果上位表示の競争以前に、ホームページを見てくださる方に対するユーザビリティという視点を忘れては成り立ちません。とりわけ検索するユーザーの皆さんの技能(専門的な表現をすれば検索リテラシー)が向上した今、検索する側がちゃんと検索したのにその探している情報が検索結果に現れないでは済ませれません。もし検索結果に現れないとしたらそれはWebサイトのユーザビリティがなっていないということに他ならず、運営者やホームページ制作会社に落ち度があると言えます。

別の例えをしましょう。東芝の液晶テレビ、REGZA 42Z9000と型番まで分かっていて、その情報を詳しく知りたいと思ったら、わざわざ「東芝」で検索して会社のトップページからカテゴリーを絞るよりも、直接検索キーワード「東芝 REGZA 42Z9000」で当該ページに進んだほうが早いんです。(実際にそのキーワードで検索すると、http://www.toshiba.co.jp/regza/lineup/z9000/index_j.htmがちゃんと第1位で現れます。)それが検索することの利点でもあり、検索エンジンの有効利用でもあるのですから。

ユーザビリティとは、ホームページを見てくださっている方に対するサービスであり、おもてなしです。

公務員は市民に対する奉仕者です。厳しい言い方かもしれませんが、その奉仕者がサービスやおもてなしの精神を欠いたようなユーザビリティのないホームページを運営・展開するのはいかがなものでしょうか。何も鶴岡市のホームページに限りません。残念なから、役所のホームページのほとんど全ては検索エンジンを意識した作りになっていません。(もっともそれ以前に伝えるという観点からしてもホームページとしてお粗末なものだらけですが。)

情報を発信するサービスを提供している側が、その情報を覧られる努力をしないとしたら、それは発信する側にとっても大きな損失であることを認識すべきです。

今一度、「検索エンジン対策=ユーザビリティの第一歩」という検索エンジン対策の本当の意義を認識してもらえればと思います。


写真は鶴岡市役所(ウィキペディアより転載)


ラベル: , , , , , , , ,


▲このページの先頭へ