「やられた〜」から「やっちゃった〜」へ。その時 “こども店長” が死んだ。

2009年11月27日



ご存じトヨタ自動車のテレビCM “こども店長” (15秒ver.)を
初めてみた時の衝撃は今でも忘れません。

「やられた〜!」

ひとことで言い表せば、そんな気持ちです。

仕事柄、テレビCMを見る時は、
視聴者側と制作者側の両方の立場から見るのが常です。

「やられた〜!」のひと言は、
制作者側からの視点での最大級の讃辞です。

このCMの設定なら、しばらくはとても効果的な宣伝広告として、
しかもシリーズ化できるので比較的楽に制作できるだろう!

多分このCMを作った方は、内心しめしめと思っているんだろうな〜
などと勝手に想像してしまいます。


ところで、2009年を代表するこのテレビCM、
なにかこれと似たCMが思い当たる人はいませんか?

そうです。

2007年から続くソフトバンク携帯の “おとうさん犬” CMと酷似しています。(“おとうさん犬” CMは2007年好感度No.1 CMとなっています。)

どちらもCMの中で、
「なぜ、おとうさんが犬なのか?」
「なぜ、こどもが店長なのか?」が伝えられていません。

両テレビCMのストーリーは、
その謎(=理由)が判らないまま次々と展開します。


実は、この2つのCMと対極をなすテレビCMもあります。
トミー・リー・ジョーンズが主役を務めるサントリーフーズの缶コーヒーBOSSのテレビCMです。

ここでは、トミー・リー・ジョーンズは宇宙人として地球調査に来ているという設定が予め視聴者に伝えられた上で、シリーズが展開されます。
そこでは「なぜ、トミー・リー・ジョーンズ扮する宇宙人が地球にきているのか?」はみんな判っている(=地球調査)ので、問題になることはありません。

どちらも文学手法のひとつではありますが、
前者の手法のほうがより新しく、近代的で、高度な手法と言えます。

いずれにせよ、アイディアの勝利です。

そもそも “こども店長” のCMは、
「自動車の減税と補助金の制度」を宣伝するCMです。

トヨタだろうが、ホンダだろうが、日産だろうが、
「自動車の減税と補助金の制度」自体は一緒です。
要は、各自動車会社が同じ「制度」を宣伝をして
売上に繋げようとするものです。

同じ制度を宣伝して、どれだけ自社が売上を伸ばすかの勝負です。
本来、宣伝広告(テレビCM)がない状況なら、
各自動車会社ともエコカー減税対象車種を持つ比率に合わせて、
売上の増加率は一定になってもおかしくないはずです。

そこでの勝負だからアイディアの勝負となるんですね。
トヨタ自動車の場合、
「自動車の減税と補助金の制度」を宣伝するテレビCMを流す
タイミングも群を抜いて早かったので、
その点でも圧勝ですね。



トヨタさん、そこまではよかったのですが、
数ヶ月経って、ゴルファーの石川遼選手が、
“ハニカミ店長” としてテレビCMに出てきた時は、
心底落胆しました!
思わず「あ〜あ、やっちゃった〜」でしたね。
ガッガリです。


先程、「なぜ、こどもが店長なのか?」が
見る人に伝えられていない書きましたが、
“ハニカミ店長” の登場で、
単に人気者が店長に設定されていると判明してしまったからです。

  「なぜ、こどもが店長なのか?」
  「単に人気者だから。」

これまで “謎” だった部分が判明し、
一気にCMのクオリティーはレベルダウンです。
まるで、連ドラで途中まではおもしろかったのに、
最後のエンディングで転けたドラマのようです。


しょせんはテレビCMだから、
と言われるかもしれません。

でも、どうせなら
高いクオリティーのテレビCMであって欲しいものです。
それなりにお金を掛けて制作しているわけでもあることですし。



テレビCMの主役をつとめる加藤清史郎くんのことは、
この時まで知りませんでした。今は大好きです!


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