黒いトンボ、現る!

2009年8月20日

 

この夏の初め頃だろうか、夕方母親に電話をすると、
「さっき “かねつきトンボ” を一匹見た!」と興奮した声で勢いよく母が話し始める。
「羽根が真っ黒であたしが小さい頃はいっぱい見掛けて、よく捕まえたもんだ。お前、見たことないかい?」
「いや、知らない。見たことない。」と私。
「それにしても、ビックリ! でも昔はもっとゆっくりと飛んでいたトンボだったけど、なんだか今では動きが速くなってたよ! 捕まえようとしたけど、動きが早くて捕まえられなかった。」
って、そんなわけあるかい! トンボが進化して早く飛ぶようになった! そうじゃないでしょう。
「あなたの動きが遅くなったから、トンボが早く動くように見えるんでしょうよ!」
「ハハハハハ…」と電話越しに二人で大笑いする。

さて、その二週間後、朝日新聞の庄内版で10センチ角の写真で “ハグロトンボ(かねつきトンボの別称)” が載っていて目にとまる。記事は “ハグロトンボ” 50年ぶりに鶴岡市の内川で発見される! しかも大量発生! なるほど、自分は見たことないわけだ。

後日、鶴岡市内を流れる内川沿いを散歩していた時のこと、なんと何匹もの “かねつきトンボ” を見掛ける。ちょっと感動! 生まれて初めて見る黒い羽根のトンボ! 黒い羽根のトンボってなんか気味悪いのかな〜と思っていたら、全然違っていた。ひらひらと優雅に飛ぶ姿は、まるでスリムな蝶々のよう。停まる時も写真のように蝶の如く羽を上方に畳むのだった。鋭利に動いたり止まったりする赤とんぼやオニヤンマとは全然違う生きものといった感じ。

動きがゆっくりで優雅な “かねつきトンボ” を見掛けたよ、と母に話すと、
「いや〜、昔はゆっくりした動きだったのに、今は速くなって捕まえられないよ。」
う〜ん〜、そこですか。どうしても母は自分がトロくなったとは認めたくないわけですね。

人って、たぶん自分の感覚でしか物事を捉えることができないんだろうなって、改めて感じさせられる出来事だった。

今、こうしてご覧いただいているホームページの文字は大きいと思いますか? それとも小さく感じますか?

ホームページの文字の大きさにしても、若い頃はちょうどいい大きさに感じられても、年齢を重ねると、自然に小さく感じるようになってしまうんでしょうね。それは理屈じゃない。

母に “かねつきトンボ” の動きが変わったわけじゃないって納得させるためには、50年前の映像をもってきて(そんなモノがあればの話ですが)、現在撮影した “かねつきトンボ” の動きと見比べさせないといけないんでしょうね。

もっとも、それで納得したとしても本人の “かねつきトンボ” の動きに対する印象が変わるとは思えません。いや〜、伝えること、納得してもらうことは本当に至難の業だと思いませんか?


(写真は散歩道で見掛けた“ハグロトンボ”〔冒頭〕と内川から南方を望む。うっすらと右に見える山は金峯山。)

ラベル: , ,



◎この投稿へのリンク:

リンクを作成

▲このページの先頭へ